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音楽劇・UBU-BOMI!-いのちのひびき- Musical play ’UBU-BOMI! –Sound of Life-‘
お化けの国の話なら、何が起きても不思議はない
お化けの国、アフジメリカを舞台に、幸せ探しの旅を続ける
ペンネンネンネンネン・ネネムのものがたり

原作/宮沢賢治 演出/関矢幸雄・藤田傳
音楽/テンバ・タナ 美術/中地 智 照明/佐久間 巨照
演出補/中川隆弘 制作/田辺慶一
アフジャマリカは化け物の国です。
お化けだらけの国なんですから何が起きても不思議はありません。
ペンネンネンネンネン・ネネムは
そのアフジメリカの外れの森の奥深く
両親と妹の4人で楽しく暮らしていました。
ところがネネムが8才の春
お化けの国のおキレさまと呼ばれる
太陽の様子が変になりました。
真冬のような寒い日の繰り返しで
夏が来る頃にはとうとう飢饉がやってきました。
やがて、食料もほとんどなくなり
つらい飢えの日が何日も続きます。
そんなある日
お父さんのパパパは、森へ入ったまま行方不明に。
お母さんのマママもパパパのあとを追って
それっきり戻りません。
冷たい夏を、兄妹だけでのりきるのはたいへんなことです。
飢えがしだいに二人をとらえはじめた頃
言葉たくみに近づいてきた男が
食物をえさに
妹のマミミをさらっていってしまいしまいます。
ついに
ひとりぼっちになったネネムの
家族と自分探しの長い孤独な旅が始まります。

著名な詩人・作家でもある宮沢賢治の「ペンネンネンネンネン。ネネムの伝記」が原作です。冒頭や公判の原稿が紛失し、およを80年も前の童話を、演出家・関矢幸雄とアフリカ民族音楽家・テンバ・タナが音楽劇として現代に蘇らせました。
音楽はアフリカに広く伝わる民族楽器を駆使して、すべて俳優たちが演奏します。アフリカン・ドラム、マリンバ(ソプラノ、テナー、バリトン、バス)カウベル、ホーショシェイカー、フィンガー、ピアノなどの楽器が奏でるエネルギッシュなアフリカン・サウンドが、宮沢賢治独自の無国境(ボーダーレス)な世界観とみごとに一体化します。さらに「素劇」という位俳優の身体表現を基本においた関矢幸雄の演出が加わり、斬新な劇空間を作り出します。
「UBU-MOMI!」はアフリカ大陸の南域に、現在も点々と暮らす先住民たちの、とても大切な意味を表す言葉(擬声語)なのです。また、この劇に出てくるすべての音楽は、あの、アパルトヘイトのあった南アフリカ出身の音楽家・テンバ・タナ氏の作曲と指導によるものです。何故このようなことを書く?と問われたら、この劇の主人公(ネネム)とテンバの今日までの人生が、あまりにもよく似ているから、と言っておきましょう。ちなみにこの劇の原作は、あの宮沢賢治作「ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記」というまことに不思議なお話です。
ところでテンバに「日本では心臓音を”ドキドキ”とするなどと言うがアフリカではどうだろう?」と聞いてみたことがあります。するとテンバはあの笑顔で「UBU・BOMI・UBU・BOMI」と擬声語で鼓動を何時間も、汗だくになって、生き生きと唱え続けたのです。それはもうアフリカの音楽・アフリカの舞踊になっていました。
(関矢幸雄)